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旧耐震マンションを売るときに知っておきたいこと — 買い手の住宅ローン控除・フラット35と耐震基準適合証明

確認日 2026-10-14 出典は各段落の注と末尾の一覧に記載 築古マンション再生ラボ AI編集部

結論: 旧耐震のマンションでも、買い手の住宅ローン控除や【フラット35】の利用が一律に閉ざされるわけではありません。ただし、どの制度も「1982年以後の建築」や「1981年6月以後の建築確認」といった日付で線を引いており、それより前の住戸では耐震基準適合証明書などの書類や機構の耐震評価基準への適合が別に求められます。日付の基準は制度ごとに違うため、まず自分の住戸の「建築確認日」と「登記上の新築時期」を確認することが出発点になります。

この記事は、1981年以前に建築確認を受けたマンションを持ち、売却を考え始めた方に向けて、買い手側の税制・ローンで耐震がどう扱われるかを公的資料で整理したものです。売却の時期や是非を勧めるものではありません。

この記事の制度の内容は、すべて2026年10月14日に確認した公的資料に基づきます。出典は各段落の注と末尾の出典一覧に記載しています。


1. 旧耐震とは — 竣工日ではなく「どの日付で判断するか」が制度ごとに違う

現行の耐震基準(新耐震基準)は、1981年(昭和56年)6月に改正された建築基準法施行令によるものです1。国交省の資料は、新耐震基準の目標を「中規模の地震(震度5強程度)に対しては、ほとんど損傷を生じず、極めて稀にしか発生しない大規模の地震(震度6強から震度7程度)に対しても、人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害を生じないこと」と説明し、新耐震基準の適用日を「昭和56年6月1日」としています2。

注意したいのは、新耐震か旧耐震かを判断する日付が、制度や資料によって異なることです。マンションの「竣工日(完成日)」だけを見て判断すると、制度の区分と食い違うことがあります。

制度・資料区分に使う日付出典
【フラット35】の中古住宅の技術基準建築確認日が1981年5月31日以前か(確認できない場合は登記上の新築時期が1983年3月31日以前か)3
住宅ローン控除・登録免許税の軽減1982年(昭和57年)1月1日以後に建築されたものか45
不動産取得税の軽減(東京都)1982年1月1日以降に新築されたものか(固定資産課税台帳の建築年で判定)6
国交省「マンション耐震化マニュアル」1981年5月31日以前に着工されたものを旧耐震基準のマンションとして記載1
自治体の耐震助成の例(東京都江戸川区)1981年5月31日以前に建築確認を取得して建築された建築物7

建築確認日と登記上の新築時期は別の日付です。仮に建築確認日が1981年5月31日以前で、新築時期が1982年1月1日以後の住戸であれば、上の表の基準に当てはめると、税制では日付の要件を満たし、フラット35では耐震評価基準等への適合が求められる、という形で扱いが分かれます。建築確認日は建築確認の際に交付される確認済証などで、新築時期は登記事項証明書で確かめられます。住宅ローン控除の提出書類でも、1982年1月1日以後に建築された家屋については登記事項証明書が挙げられています4。

なお、2013年11月25日施行の改正耐震改修促進法により、1981年5月31日以前の旧耐震基準で建てられたすべてのマンションに耐震診断の努力義務が課されています1。

2. 買い手の住宅ローン控除と耐震の要件

対象となる年分

国税庁タックスアンサー No.1211-3 は、中古住宅をローンで取得し、2022年(令和4年)1月1日から2030年(令和12年)12月31日までに居住を始めた場合の住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を説明しています(令和8年4月1日現在法令等)4。国交省は、2026年度(令和8年度)の税制改正で制度が5年延長されたと案内しています8。

耐震に関する要件

中古住宅(建築後使用されたことのある家屋)は、次のいずれかに当てはまる必要があります4。

  1. 1982年(昭和57年)1月1日以後に建築されたもの
  2. 取得の日前2年以内に、耐震基準に適合すると証明されたもの(耐震住宅)
  3. 要耐震改修住宅のうち、取得の日までに耐震改修の申請をし、居住を始める日までに耐震改修により耐震基準に適合すると証明されたもの

国交省は、2022年の改正でこの要件が「昭和57年以後に建築された住宅」(新耐震基準適合住宅)に緩和されたと説明しています8。根拠は租税特別措置法施行令26条3項です5。

1981年12月31日以前に建築された家屋の場合、2.の証明には次のいずれかを使います(いずれも取得の日前2年以内のものに限る)4。

3.の要耐震改修住宅として控除を受ける場合の扱いは、タックスアンサー No.1211-5 に提出書類(耐震基準適合証明申請書の写しと耐震基準適合証明書など)とあわせて記載されています9。

床面積(原則50㎡以上、一定の場合は40㎡以上50㎡未満)、所得、借入期間などのほかの要件もあります4。買い手が実際に控除を受けられるかは個別の事情で決まるため、判断は税務署や税理士に確認するよう買い手に伝えるのが確実です。

3. 【フラット35】の中古住宅の技術基準

住宅金融支援機構の「中古住宅の技術基準の概要」(2026年10月1日更新)は、耐震性について次のように定めています3。

建築確認日が昭和56年5月31日(建築確認日が確認できない場合にあっては、新築年月日(表示登記における新築時期)が昭和58年3月31日)以前の住宅は、耐震評価基準等に適合する必要があります。

マンション(共同住宅)の耐震評価基準として、同ページは次の4項目を挙げています3。

このほか、マンションの床面積が30㎡以上であること、地上階数3以上の共同住宅では管理規約と、対象期間20年以上の有効な長期修繕計画が定められていることなどの基準もあります3。

適合しているかは、原則として適合証明検査機関または適合証明技術者による物件検査(書類審査と現地調査)を受け、適合証明書を取得して確認します。検査手数料は申込者の負担で、金額は検査機関等によって異なります。また、適合証明は建築基準法への適合を証明するものではありません10。

物件検査を省略できる仕組みもあります。機構が技術基準への適合をあらかじめ確認した「中古マンションらくらくフラット35」に該当するマンションは、「適合証明省略に関する申出書」を取扱金融機関に出すことで物件検査を省略できます。一方、管理計画認定マンションを理由とする省略は「新耐震基準に適合する管理計画認定マンション」が対象で、利用できるのは【フラット35】維持保全型とされています10。

4. 登録免許税・不動産取得税の軽減と耐震の要件

登録免許税(国税)

個人が2027年(令和9年)3月31日までに住宅用家屋を取得(売買・競落に限る)し、自己の居住用にした場合の所有権移転登記は、本則2.0%が0.3%に軽減されます1112。建築後使用されたことのある家屋では、「耐震基準に適合するもの」または「昭和五十七年一月一日以後に建築されたもの」であることが要件の一つです(租税特別措置法施行令42条1項2号)5。適用には市区町村長の証明書を添付し、取得後1年以内に登記を受ける必要があります11。

不動産取得税(東京都の例)

不動産取得税は都道府県の税です。東京都主税局は、中古住宅の軽減の耐震基準要件を次のいずれかとしています6。

同ページは「東京都耐震マークでは耐震基準要件の認定を行うことができません」と注記しています6。

住宅の価格から差し引かれる控除額は新築された日で決まり、旧耐震の時期の住宅では次のとおりです(耐震基準要件を満たした場合)6。

新築された日控除額
1981年7月1日〜1985年6月30日420万円
1976年1月1日〜1981年6月30日350万円
1973年1月1日〜1975年12月31日230万円
1964年1月1日〜1972年12月31日150万円

ほかの道府県の扱いは、各道府県税事務所に確認してください。

5. 売り手ができること

制度の要件を踏まえると、売り手が事前に確認・準備できることは次のとおりです。

(1) 日付と書類をそろえる。 建築確認日(確認済証・検査済証など)と、登記事項証明書の新築時期を確認します。1章のとおり、どちらの日付が使われるかで制度の扱いが変わります34。

(2) 耐震基準適合証明書を誰が発行できるかを知る。 国税庁は、証明書を発行できる「建築士等」を、一級建築士・二級建築士・木造建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関、住宅瑕疵担保責任保険法人としています4。国交省の様式の備考では、二級建築士・木造建築士が証明できる家屋は建築士法で範囲が限られています13。

(3) 期限を意識する。 住宅ローン控除・不動産取得税(東京都)のいずれも、耐震の証明書類は「取得の日前2年以内」のもの(耐震基準適合証明書なら、調査の終了が取得の日前2年以内)に限られます46。それより前に取得した証明書類は、この要件を満たさないことになります。

(4) 管理組合の耐震診断の状況を確認する。 旧耐震のマンションには耐震診断の努力義務があり、国交省の「マンション耐震化マニュアル」は、管理組合が耐震診断から耐震改修の予算化までを進める手順を解説しています1。管理組合が耐震診断を実施済みか、結果はどうかを確認しておくと、専門家に相談する際の材料になります。耐震診断・耐震改修の費用の一部を助成する制度を設けている区市町村もあります。東京都の「耐震化助成制度」一覧(令和8年度)では区市町村ごとのマンション向け助成の有無を確認でき、たとえば江戸川区は分譲マンションの耐震診断・改修設計・改修工事の助成を案内しています147。内容と受付状況は年度で変わるため、申請前に自治体へ確認してください。

証明書が取れるかどうか、取るべきかどうかは建物の状態によります。個別の判断は建築士などの専門家に相談してください。

6. 建替え・要除却等認定との関係

耐震性が不足するマンションは、建替え決議の要件が5分の4から4分の3に下がる「客観的事由」の一つに当たります。その判定には耐震診断が前提になり、特定行政庁の「要除却等認定」を受ける選択肢もあります。詳しくは「マンションを建て替えられる基準」と「要除却等認定とは」で解説しています。

7. 売却価格の目安を知る公的な方法

国交省の「不動産情報ライブラリ」では、不動産の取引価格や地価公示などの価格情報を調べられます。成約価格情報は、指定流通機構(レインズ)が保有する取引価格情報を、国交省が個別の取引を特定できないよう加工して公表したものです。データは四半期ごとに追加され、「参考情報としての利用を想定」していると説明されています1516。

個別の物件の価格は、建物の状態や管理状況などで変わります。近い条件の取引を複数見たうえで、具体的な価格は不動産会社の査定などで確認するのが一般的です。

まとめ


免責事項: この記事は確認日(2026年10月14日)時点の公開情報に基づいて作成しています。税制・融資の制度や適用期限はその後変更される可能性があります。買い手が住宅ローン控除や税の軽減を受けられるかは個別の事情で決まります。個別の判断は税務署・税理士、融資は取扱金融機関、建物の耐震性は建築士などの専門家にご相談ください。助成制度は年度と受付状況を、申請前に各自治体へご確認ください。

出典一覧(確認日はすべて 2026-10-14)

出典・注

  1. 国土交通省「マンション耐震化マニュアル」(平成19年6月、平成26年7月再改訂)p.3、p.5 https://www.mlit.go.jp/common/001086801.pdf (確認日 2026-10-14) ↩ ↩2 ↩3 ↩4

  2. 国土交通省「マンションの耐震性等についてのQ&Aについて」(平成17年12月)(10) https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/07/071208_2_.html (確認日 2026-10-14) ↩

  3. 住宅金融支援機構【フラット35】「中古住宅の技術基準の概要」(2026年10月1日更新) https://www.flat35.com/business/standard/used/index.html (確認日 2026-10-14) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  4. 国税庁 タックスアンサー No.1211-3「中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-3.htm (確認日 2026-10-14) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5 ↩6 ↩7 ↩8 ↩9

  5. e-Gov法令検索「租税特別措置法施行令」26条3項、42条1項 https://laws.e-gov.go.jp/law/332CO0000000043 (確認日 2026-10-14) ↩ ↩2 ↩3

  6. 東京都主税局「不動産取得税」(よくある質問 Q13) https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/real_estate/f (確認日 2026-10-14) ↩ ↩2 ↩3 ↩4 ↩5

  7. 江戸川区「分譲マンション(緊急輸送道路沿道建築物、特定沿道建築物の対象となるものを除く)」(2026年7月3日更新) https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e021/kurashi/sumai/taishin/kenchiku/bunjo_mansion.html (確認日 2026-10-14) ↩ ↩2

  8. 国土交通省「住宅ローン減税」(2026年6月更新) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html (確認日 2026-10-14) ↩ ↩2

  9. 国税庁 タックスアンサー No.1211-5「要耐震改修住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-5.htm (確認日 2026-10-14) ↩

  10. 住宅金融支援機構【フラット35】「中古住宅の物件検査の概要」 https://www.flat35.com/business/inspect/tech/index.html (確認日 2026-10-14) ↩ ↩2

  11. 国税庁「土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」(令和8年4月) https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0020003-124_01.pdf (確認日 2026-10-14) ↩ ↩2

  12. 国税庁 タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」(令和8年4月1日現在法令等) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm (確認日 2026-10-14) ↩

  13. 国土交通省「【様式】耐震基準適合証明書(2024年4月~)」備考(掲載ページ「住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る特例措置」) https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000019.html (確認日 2026-10-14) ↩

  14. 東京都耐震ポータルサイト「耐震化助成制度」(令和8年度) https://www.taishin.metro.tokyo.lg.jp/support/taishinka-josei.php (確認日 2026-10-14) ↩

  15. 国土交通省「不動産情報ライブラリ」 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/ (確認日 2026-10-14) ↩

  16. 国土交通省「不動産情報ライブラリ」利用約款(トップページの「利用約款・ヘルプ」から。同サイトの利用約款 第7条によりリンクはトップページのみ) https://www.reinfolib.mlit.go.jp/ (確認日 2026-10-14) ↩